窓ってトリプルガラスがいいの?
予算も厳しいし複層ガラスにしようか・・・。
この記事では北海道での新築住宅の窓の決め方について解説していきます。
北海道で5年間住宅営業としてお客様へ提案をしてきました。
寒さが厳しい北海道ではトリプルサッシがスタンダードです。
それでもポイントをおさえた計画がなければ快適なお家は実現できません。
窓はデザイン性、光熱費、快適性、費用、使い勝手に影響するなど特に重要です。
北海道に限ったことでは無いと思います。
窓の計画の要点を押さえていただければ、お家づくり成功のヒントになるはずです。
それではいきましょう!
北海道ではトリプルサッシを選ぶべき。
北海道ではトリプルサッシがどんどん普及しています。
でもローコストの建築会社ではまだ複層ガラスが標準仕様のところもあります。
価値観次第ですので悪いわけではありません。
それでも悩む必要なくトリプルサッシがオススメです。
そう思う理由は2つあります。
わかりきっているメリットかもしれませんが、ここから先が本題です。
もう少し細かく解説させもらいます!
トリプルサッシの前提知識
窓ガラスは単板ガラス<複層ガラス<トリプルガラスと断熱性能も価格も高くなります。
また、窓枠も同様でアルミ<複合<樹脂と高くなります。
北海道ではほぼアルミを使うことはありません。
今回は樹脂枠の複層ガラスとトリプルガラスの比較をメインにお話していきます。
トリプルサッシのオプション費用よりも暖房費のメリットが大きい。
トリプルガラスは複層ガラスと比べ性能も価格も高いです。
複層ガラスからトリプルガラスへ変更のための費用はおよそ25万円です。
(間取りや工務店で変動あり。)
商品の例としてはYKKだとAPW330からAPW430への変更。
LIXILだとエルスターSからエルスターXへの変更です。
25万円、安い金額ではないですよね。
これでいくらの効果があるかを確かめてみます。
年間の暖房費についてはざっくり計算させてもらいます。
複層とトリプルの熱貫流率差から暖房費の差を計算してみました。
暖房費は複層ガラスよりもトリプルガラスの方が年間9,444円安いという結果になりました。
(もろもろ平均値を採用してますので、誤差は必ず発生しますので参考までに。)
複層とトリプルの熱貫流率の差0.41W/㎡・K × 窓面積30㎡ × 暖房デグリーデイ3,500K/日・冬季 × 24h/日 × 電気代32円/kwh ÷ エアコンCOP3.5 ≒ 9444円
※他の地域の方は盛岡や東京、福岡の数字がカタログにのっていましたので参考にしてみてください。
単純に考えると得した暖房費9,444円でオプション費用25万円を回収するには26年ほどかかることがわかりました。
もう一つ、オプション25万円を月々の借入を計算してみましょう。
借入期間:35年、金利1.6%で計算してみると月々777円です。
住宅ローンの返済額で考えた場合、オプション分は年間返済額9,324円です。
オプション分の年間返済額9,324円払って、得した年間暖房費9,444円お得になったら120円おつりが返ってくる計算になります。
もちろん条件によりますが、ここでの計算は夏を考慮していないためまだ余裕があります。
どうでしょう、なんかお得な感ですよね。
(なんか詐欺師みたい。笑)
トリプルサッシで健康な生活が長くしやすい環境。
窓は内外の温度差が大きいほど表面結露がおきやすいです。
結露は住宅の寿命や住む人間の健康に影響をあたえます。
結露でおきた水滴を放置するとカビ・ダニが好む環境になります。
さらにその結露がクロスや床材などを傷めます。
なので健康な生活が長くするためにも結露の水滴は毎回拭き取る必要があるんです。
トリプルサッシはガラスとその間にある空気層で熱が伝わりにくいため、結露を防いでくれます。
この熱の伝わりにくさを熱伝導率[W/㎡・K]で表し、低いほど優れた窓です。
下記の写真は温度を色で表したサーモグラフィでの比較画像です。
表面の温度が高く、赤に近いほど結露が起きにくくなります。
一番右の写真でガラス面の赤みが強いのわかりますか?
トリプルガラスの熱伝導率が低いため寒い外の影響を受けていない証拠です。
- 結露がおきにくいため、健康的な環境を保ちやすい。
- 住宅が結露によって劣化することを防ぎやすい。
トリプルサッシ計画のコツ、北海道の「夏涼しく、冬あたたかい」は南面にある。
極論ですが、南面に窓を集中させましょう!
(間取り上、そういうわけにもいきませんが・・・。)
理由は南面の窓が一番その季節に快適な室内環境にしてくれるからです。
ここで見るべき項目は全日直達日射量という1日に太陽の光をどれぐらい浴びたかを示した数字です。
各方位の壁面を季節ごとに表すと以下のようになります。
夏涼しく、冬暖かいお家を考えるには必須のポイントになりそうですね。
極端すぎると風通し度返しの計画になるのでご要望に合わせてヒントとして考えてください。
- 南面の窓が最優先!
南面のトリプルサッシだけは日射取得型、他は日射遮蔽型を選ぶ。
トリプルサッシには日射取得型と日射遮蔽型があります。
日射取得量は日射遮蔽型<日射取得型で、
断熱性能は日射取得型<日射取得型という形で性能が変わります。
日射取得型を南面に採用するのは冬の日差しを最大限取り込むためです。
室内ができる限り暖まる環境にできます。
逆に夏場は家が熱くなりやすくなりますが、北海道で考えるべきは冬です。
北海道の夏は比較的短いですからね。
その他の面は、断熱性能を高めるため日射遮蔽型を選びます。
東西については、日射が冬少なく、夏長いので日射遮蔽型が適しています。
注意点としては南面で冬場の日差しが見込めないのであれば日射遮蔽型を検討していいかもしれません。近隣の住宅が近い場合などは吹抜けからリビングに向けて日差しを入れるなど、窓の性能以外で解決していくことも考えましょう。
- 南面は日射取得型のガラスを選んで、最大限日差しを取り入れる。
水回りの窓はなくても大丈夫。
水回りはLDKやその他の場所の日当たりを優先する関係で日当たりが悪い位置に来ることが多いです。
南側にないけど窓をつけたい、という人は多いと思います。
特に洗面脱衣は洗濯物も干したいですしね。
それでも私は水回りの窓は必要ないと思っています。
以外とメリットもあるので話だけでも聞いてください。笑
設置コストも光熱費も抑えられる可能性あるって素敵じゃありませんか?
注意点は掃除とか強制的に換気したい場合ぐらいかと・・・。
少し偏った考えとは思ってますが、寒い環境にわざわざ窓つけなくてもいいんじゃないかって思っちゃいます。
北面窓なしファサードはスタイリッシュ。
窓は家の顔(=ファサード:家の正面のこと)の要素の中でもかなり大事です。
窓がおしゃれだと、お金をかけなくてもおしゃれです。
窓が多いとおしゃれにする難易度がグッと上がります。
その点、北面がファサードの場合は必要な窓が少ないのでおしゃれにしやすいです。
住宅街で水回りや玄関などの窓がついている中、窓がついていない外壁のお家はかなり目立ちます。
すごく印象的で、きれいで、素敵な雰囲気になります。
参考までにざっくり書いてみました。
私は好きなデザインなのですが・・・。
おしゃれに感じなかったらすみません。笑
北海道だから気をつけたい窓の計画
ガラスの種類以外にも気をつけるべき項目がいくつかあります。
良いものを使った上で、的確な窓の計画を行うようにしてください。
スライドタイプは価格が高く気密性が低いから選ばないほうがいい。
引違いや片引きなどのスライドタイプのサッシは価格が高く、気密性が低いというデメリットがあるためオススメしません。
価格は同じサイズのサッシで1.5倍ぐらいならまだマシなぐらいです。
出入りできる掃出窓なら同じサイズからの変更でオプション金額20万円前後かと思います。
定価で1本40万~50万円するので当然なんですが・・・汗
気密性[C値]は家の隙間の量です。
数値が低いほど家の隙間が少ないため、暖房費を抑えやすく計画的に換気を行うことができます。
スライドするタイプのサッシはレールの構造上、気密性を確保しにくい作りになっています。
そのため他の窓と比較したときに気密性で劣ってしまいます。
暖かいお家からは少し離れてしまうんですね。
それでも大開口のスライド窓はとても魅力的です。
大きく開けれる窓の奥にウッドデッキやお庭が広がっているのはとても夢があります。
予算や光熱費を考えると避けたいですが、、、ロマンも捨てがたいです。笑
- スライドタイプのサッシは気密性が低く価格も高いので避ける。
掃出窓は床下暖房・床暖房とセットにする。
暖房の計画と絡めたお話です。
暖房器具は原則、冷気を防ぐために窓の下に設置します。
でも、外に出れる掃出窓や床近くまである背の高い窓の場合は床とほぼフラットなので暖房はつけれません。
新築の要望でよく聞くのがウッドデッキや庭に出られるようにしたいというものです。
この要望を形にするときは必ず床下暖房または床暖房とセットで計画するようにしてください。
そうすることで窓からの冷気が直接人に当たるのをある程度防いでくれます。
暖房器具を床や床下に配管していくタイプは比較的金額が高い暖房方式です。
床下エアコンという方式もあるのですが、できる工務店は限られてきます。
担当の方に相談して、暖房・窓はセットで計画を進めるようにしてください。
- 冷気を防ぐため掃出窓や背の高い窓のときは床・床下暖房とセットで計画する。
北海道じゃなくても気をつけたい窓の計画
小さい窓は一体型の方が安く済む。
住宅をおしゃれにしようと思ったときに、窓を2~3個ならべて計画することがあります。
これは通風をのぞいてほぼデザインだけのメリットです。
窓自体の費用もかかるし、ロールスクリーンの付け方迷うし、掃除もしにくいし。
いろいろな場所で取り入れるのは適していません。
ただし、2m角近い大きい窓はガラスの面積の問題で小分けにした方が安いケースもあります。
(それでも価格以外のデメリットがあるので微妙ですが・・・。)
ファサードに関係ないようなところはできるだけ開閉できる窓とできない窓が合わさった一体型のものを選ぶことをオススメします。
- ファサードやリビング、大きい窓以外は一体型を選ぶ。
トリプルサッシをサポートするカーテンやスクリーン。
カーテンは日差しをコントロールできるので、夏・冬の使い方や選ぶものなどでより快適な環境にすることができます。
夏は日中の日差しを防ぎ、冬は夜間の冷気を防ぐことができます。
密閉しているわけではないので0にすることはできませんが、足しになります。
その効果をより高めるのが遮熱・断熱カーテンです。
生地にアルミやステンレスを加工して、遮熱・断熱性を高めています。
費用は未加工の生地と比べ高くなりますが、光熱費削減のためにも取り入れたい要素ではあります。
とても参考になる記事がありました。効果についてもしっかり載せてくれてますのでご覧になってみてください。
- 夏・冬でカーテンを使い分け、快適な環境にする。
- 余裕があれば遮熱・断熱効果のあるカーテンを選ぶ。
まとめ
今回は窓のお話でした。まとめるとこんな感じです。
- トリプル樹脂サッシを選ぶ。
- 南面優先で日当たり、気密性を考慮しながら窓計画する。
- 冷気の影響があるので窓下の暖房とカーテンを合わせて計画する。
光熱費やオプション費用が関わってくるのは窓だけではありません。
打ち合わせするたびに予算の壁にあたるかと思います。
そんな方のために私がわかるコストダウンのお話を全部まとめました。
よければ参考にしてみてください。
別の記事もあなたのお家づくりに役立てていただけたら嬉しいです。
それではまたお会いしましょう!
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