メンテナンスを考えたら外壁・屋根はケチれない・・・。
でもコストを抑えるにはどうしたらいいの?
この記事では新築の外壁・屋根のコスパの良い選び方についてお伝えしていきます。
住宅営業で5年間お客様に何度もご提案をしてきました。
外壁・屋根は新築の打ち合わせの中でも費用への影響が大きいコーディネートの一つです。
特にメンテナンスにかかる費用が最もネックで、いかにメンテナンスしなくてもいいものを選べるかどうかを重要視している方が多いです。
でも、皆さん意外と気にしないのですが、メンテナンス以外にも考えるべきポイントや基準はたくさんあるんです。
これがわかればより納得のいくお家づくりができるんじゃないかと思います。
あなたのお家づくりの参考になれば嬉しいです。
では、見ていきましょう!
新築計画コスト重視なら外壁・屋根は形状をシンプルにする。
外壁・屋根の形状をシンプルにすることで、以下のようなメリットがあります。
シンプルな形状に当てはまらないのは、凸凹で角が多いというのが一つのポイントになります。
形状は平面上で見ても横から見ても正方形により近いのが理想です。
できるだけ寄せられるように調整していただくとコスパの良いお家になります。
メリットについて一つ一つ見ていきましょう。
建築コストが抑えやすい。
作りが複雑になるほど職人さんの手間賃がかかるのはおわかりいただけると思います。
でも実はそれでけではなく、正方形以外の形だと外壁の面積が増えます。
例えば、10m×10m=100㎡の正方形と20m×5m=100㎡を比べると、外壁の長さは10m違います。
もう一つ見ていきます。
10m×10m=100㎡から2m×3m=6㎡引いても外壁の長さは40mで変わらないですよね。
必要な外壁資材が少ない分、同じ大きさでも正方形は建築コストが抑えやすいんです。
屋根は建築面積によるので変わりませんが、屋根面が多かったり、勾配が大きいとコストがかかるケースが多いです。
建物形状を正方形にすることでコストが抑えやすくなる。
間取り的には総2階もコスパがいいです。
似たように形状がシンプルという点でコストのメリットが大きいので参考になるかと思います。
劣化しにくく維持費が抑えやすい。
先ほどの外壁面積が少なくなる分、維持費が抑えられるというのもあります。
それだけではなく、外の形状で角は劣化がしやすいポイントの一つです。
雨風が当たりやすかったり、日が当たりにくく苔ができやすかったり、逆にあたりすぎたり。
角がないお家というのはありませんが、正方形がもっとも外部からの影響を受けにくく、劣化しにくい形状といえます。
複雑な形状にした場合に1番深刻なのが屋根です。
年数がたったときに複雑な屋根は弱点になりやすく、雨漏れのリスクが高くなります。
雨漏れは内部へダメージがいくため、建物の性能、状態がすぐに悪くなります。
もちろんしっかりと施工をすれば10年間でダメになるようなことはありません。
でも、長い目でみたときに不具合の原因にはなりやすいので、メンテナンスの観点からもシンプルな形状を心がけるようにしましょう。
シンプルな形状は長く保ちしやすく、維持費を抑えられる可能性がある。
固定資産税が抑えやすい。
形状がシンプルではない場合、固定資産税があがります。・・・といっても本当にちょっとです。
上がる理由は、固定資産税の仕組みの部分にあります。
固定資産税は、評価額×税率で算出されます。
評価額は超簡単に言うと、国が決めた建築費や資材などの相場から計算されるものです。
なので、お金や材料が物理的に必要になる部分については固定資産税も高くなるんです。
外壁の場合、正方形に近いもの、階高が低いもの、素材良し悪しなどで評価額が下がります。
屋根の場合、屋根形状がシンプルなもの、勾配が小さいもの、軒の出が小さいものなどで評価額が下がります。
他にもいろんな項目があって、税金を抑えるためのポイントがぎっちり詰まってます。
一つ気をつけるだけだと年間の支払いが100円変わるか変わらないかですが、一生分で考えたら差はでてきます。
何を基準に評価しているかどうかは総務省の固定資産評価基準を見るとわかります。
理解するのにすごく時間かかるかもしれませんが、根性のある方はぜひ見てみてください。
光熱費がかかりにくい。
同じ面積でも正方形に近い方が外壁が少なく済むので、外気からの影響も同様に受けにくいです。
これを冷暖房負荷が少ないと表現したりします。
この冷暖房負荷が少ないと、冷暖房ががんばらなくても済むので、光熱費が安くなります。
ローコスト住宅の場合、断熱素材が安価なものだったりすると光熱費がネックかと思います。
そんな場合には正方形に近づけ、外部からの影響を少なくできると効率的です。
暖かさは窓も重要な要素になってきます。
窓に関する記事も参考にしてください。
北海道では迷わずトリプルサッシです。
風水的に「欠け」がなくなる。
最初にお伝えしなくてはなりませんが、ほむら(管理人)は風水を信じていません。
信じている方はすみません。汗
自然環境を考慮した設計方法の一つ程度にしか思っていません。
日当たりや湿気、用途などと照らし合わせ、快適な生活環境になるよう昔の人の理にかなった知恵だと思っています。
「欠け」とは、建物の長さの3分の2以上が引っ込んでいる形状のことを指します。
鬼門にあるかどうかにもよりますが、運気が乱れるそうです。
本当の意味合いとしては、「欠け」があることで日当たり・風通しの悪い部分ができ湿気が溜まりやすい場所になるため、避けるようにした先人の知恵です。
運のことはともかく、風水を知ることで建物にとって良い環境が何かは学ぶことができるかもしれないですね。
外壁・屋根の素材は選びはどれも一長一短
外壁や屋根で選べる部材は高いものから安いものまであります。
見た目も耐久性も違い、素材選びもお家づくりにとって重要です。
高い・安いで変わるメリット・デメリットをぜひ知っていただき、素材選びの参考にしていただければと思います。
新築でよくある外壁素材の比較
今回は外壁のみにさせていただきます。
屋根は北海道内では積雪によるすが漏れのリスクもあるため、屋根材はガルバがほとんどです。
申し訳有りませんが、屋根材は勉強不足ですので発信を控えさせてください。
外壁材は以下の表が目安になります。
注意点としては、商品・地域・環境・間取りなどによって変わります。
表を参考に検討し、担当への確認を怠らないようにしてください。
外壁比較 | サイディング | ALC | ガルバ | 塗り壁 | タイル | |||
窯業系 | 金属系 | 木質系 | 樹脂系 | |||||
建築 コスト | 安~中 | 中 | 高 | 高 | 高 | 中~高 | 高 | 高 |
メンテ 周期 | 10~30年 | 30年前後 | 5~15年 | 20~30年 | 10~15年 | 20~30年 | 10年前後 | 30~60年 |
メンテ コスト (1回毎) | 高 | 高 | 高 | 安 | 高 | 高 | 中 | 安 |
耐用年数 (要メンテ) | 40年 | 40年 | 30~40年 | 40年 | 50~60年 | 40年 | 30年 | 50~60年 |
重量 | 中 | 軽 | 中 | 軽 | 中 | 軽 | 中 | 重 |
耐火性 | ◯ | △ | ✕ | △ | ◯ | △ | ◯ | ◯ |
耐水性 | ✕ | △ | ✕ | ◯ | ✕ | △ | △ | △~◯ |
バリエーション | 多 | 中 | 少 | 少 | 少 | 自由度◯ | 自由度◯ | 中 |
その他 | 質感✕ | 耐サビ✕ | 業者少 | 業者少 | 業者少 | ムラ有 | 継ぎ目無 | 質感◯ |
電食作用有 | 質感◯ | 防水性✕ | 耐サビ✕ | デザイン◯ | 耐衝撃✕ | |||
耐衝撃傷✕ | 変色有 | 電食作用有 | 質感◯ | |||||
変形有 | 耐衝撃傷✕ | 耐衝撃汚✕ | ||||||
※商品・地域・環境・間取りによって変わるため、担当へ要確認。 |
補足程度ですが、各項目についてです。
重量は耐震性に影響します。
重いほど、揺れたときに建物に与える影響は大きいです。
耐火性は法規上、エリアによっては使えないケースがあります。
都会の場合は影響する可能性があり、使える商品も限られてきます。
耐水性は水を吸いやすいかどうかです。
基本的には表面に塗膜でのバリアがありますが、経年劣化でバリアがなくなってきます。
そうなると、素材自体に耐水性がないため水を吸ってより劣化してしまいす。
寒冷地の場合、水を吸った外壁材が凍害により劣化スピードが上がりやすいため、メンテ周期はシビアです。
バリエーションは選べる商品数です。
自由度◯というのは職人による加工次第で様々なバリエーションがあります。
工場生産ではないので、腕次第です。
その外壁が得かどうかは住宅の使用期間・メンテ回数・状況で変わる。
前提として建物を長く使えるようにするには間違いなくメンテナンスが必須です。
怠ることで建物の寿命は短くなる可能性があります。
メンテナンスをしなくてもいい、といわけではありません。
長期優良住宅などの打ち出しからもわかるように国の方針としても長く使うよう推奨しています。
住宅メンテナンス協議会ではメンテナンス周期についての資料を出しています。
参考にして、どれぐらいの差が出るか自分なりのシュミレーションをしてみました。
初期費用やメンテナンス費用は地域・業者・状況に応じて変わります。
逆転する可能性もありますので、1つの考え方として捉えてください。
外壁 メンテ | 0年目 (建築コスト) | 15年目 | 30年目 | 45年目 | 60年目 | 合計 |
窯業系 サイディング | 標準 | 塗装・目地 120万円 | 張替え 200万円 | 塗装・目地 120万円 | 重葺 150万円 | 590万円 |
タイル | 200万円 | 洗浄・目地 70万円 | 洗浄・目地 70万円 | 洗浄・目地 70万円 | 洗浄・目地 70万円 | 480万円 |
窯業系 サイディング 使用期間50年 | 標準 | 塗装・目地 120万円 | 重葺 150万円 | 塗装・目地 120万円 | 住替 2世帯 | 390万円 |
タイル 使用期間50年 | 200万円 | 洗浄・目地 70万円 | 洗浄・目地 70万円 | 洗浄・目地 70万円 | 住替 2世帯 | 410万円 |
※コストについては地域・業者・状況により変わります。 |
住替えやお子様との同居をするとして自身で60年目のメンテナンスをしなかった場合、ずっと使い続ける場合と結果が逆転する可能性もでてきます。
この築年数で中古として売る費用のことを考えても、長期優良住宅ではない限り売値に大きな差はでにくいです。
一生住み続ける場合は別ですが、そうでないとしたら性能だけでは損得はわかりません。
自分たちの将来をイメージしていただくと、何がベストかのヒントになるかもしれません。
家との最後はいつどんな状況なのかイメージできると、コスパ最強のヒントが見える。
メンテナンス時期がずれないようにする。
外壁も屋根も良いものにしようとすると、とてもお金がかかります。
だからといって何か1点だけ良いものにしないよう気をつけてください。
メンテナンス周期が違う素材を選んでしまうと、メンテナンスコストが高くなる可能性があります。
工事は一回で入った方が人件費もお客様への負担も少ないです。
どうしても取り入れたい場合は、メンテナンス時に足場が必要ない位置のグレードを変える等の工夫が必要です。
せっかく良いものを取り入れる場合はメンテナンスが1回で終わるかどうかも注意したいですね。
新築での外壁・屋根のポイントや考え方
ここから先はコストに直結はしないけど、外壁・屋根選びで知っておきたいポイントや考え方もご案内します。
ニッチですが、どなたかの役には立つかと思います。笑
サンプルやCGだけで判断しない。
外壁のサンプルはipadぐらい小さいです。
実際に施工されたものと比べると、少し色や明るさの違いを感じるかもしれません。
面積効果といって、小さいと濃く見えて、大きいと明るく見えます。
色のバランスは参考になりますが、CGも実物通りにはいきません。
しっかり確認したい場合は施工写真やすでに建っている住宅を見るのが間違いありません。
太陽光にあたったときは本当に明るく見えます。
凹凸の陰影なんかでも変わります。
施工写真が見つからない場合は、担当の営業からメーカーに事例写真を依頼してもらってください。
ネットにはない施工事例なんかも見つけてくれる可能性もあります。
汚れが乗りにくい向きがある。
外壁にはタテばり、ヨコばりがあります。
タテばりの方がホコリとか乗りにくい、というだけの話です。笑
タイルや金属サイディングの凹凸はそれなりに深さがあるものもあります。
聞いた話ですが、タイルの目地からキノコが生えてきたこともあるようです。
(おそらく表面だけのなので問題はないと思いますが・・・)
生物が残れるぐらい環境が整う溝があるということなのでしょうか?笑
タテでも少なからず汚れはつきますし、タイル調のサイディングだと奇抜な感じになると思うので気になる方だけ参考にしてみてください。汗
白黒じゃなく、単色じゃないものを選ぶと傷・汚れが目立ちにくい。
白黒が極端で単調なものだと傷や汚れが目立ちやすいです。
私が担当していたお客様でも、金属サイディングのブラックで引渡時に傷や汚れが多数見つかったことがあります。
そういった場合は交換の対応はしますが、工務店によっては細かい傷・汚れは前提の話をする場合があるかもしれません。
長い目で見た場合、必ず傷・汚れはつきます。
傷・汚れの目立ちにくい外壁のポイントは、極端に濃い薄い色を避けることと、複数の色で柄が入っているものを選ぶことです。
窯業系の場合、木目調サイディングやタイル調の外壁などが上げられます。
でも、白とか黒の外壁ってかっこいいんですよね・・・。
何を優先するかで選択してみてください。
虫が寄りにくい色がある。
緑色は虫が寄りにくい色とされています。
大成ファインケミカル株式会社で「虫は何色に誘引されるか?」の資料を出しており、緑と青に寄ってくる虫は少なかったという結果が出ています。(昆虫相による)
実際の外壁で試験されたわけではないし、生き物のことなので保証はできない。
でも、虫が苦手だけど森や川が近い、極力寄ってくる虫を減らしたいという場合には、検討に値するかもしれませんね。
白系か黒系かは冷暖房負荷にも影響する。
黒は熱を吸収して熱くなる、というのは有名ですよね。
衣類や車のシートなど日常でも熱くなるものは多いです。
外壁でも同様で色が白系か黒系かで熱的な違いがでてきます。
感覚で思っていたことを実際にシミュレーションをしたYouTuberさんがいます。
現役時代も今も尊敬する「ラグジュ建築と不動産」というチャンネルです。
温度だけかと思いきや、湿気のお話もでてきて・・・。
いつも勉強させていただいてます!
まとめ
今回は外壁・屋根についてのお話でした。
- 外壁・屋根形状は正方形が最もコスパがいい。
- 選ぶ素材はどれも一長一短。将来の計画次第でコスパは変わる。
- 外回りのメンテナンス周期がそろうよう素材を選ぶ。
- サンプルだけじゃなく、実物や事例写真も見てイメージを具体的にする。
- 色や柄、向きなどで「汚れや傷の目立ちにくさ」「虫の寄りにくさ」「冷暖房効率」も変わる。
どれもコストに大きく関わるお話です。
高いものをなんとか選びたい場合にはこちらの記事を参考にしてみてください。
他の部分でコストダウンするためにできる方法をできる限りまとめました。
参考にしてみてください。
こんな私ですが、皆さんのお家づくりの役に立っていれば嬉しいです。
それではまた。
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