タッチレス水栓ってあったほうがいいの?
今回は住宅に取り入れるタッチレス水栓について解説していきます。
住宅営業として5年間、お客様に提案をしてきましたが、タッチレス水栓に強いこだわりを持ってらっしゃるお客様はいませんでした。
タッチレス水栓はレバーに触れず水を出し止めできる蛇口のことです。
本文に入ったら説明しますが、標準使用からタッチレス水栓に変える金額の元を取ることはできません!
逆に考えるとそれぐらい水栓金具の性能はよくなってきています。
今回はタッチレスにするべきかどうか、みなさんが判断するために十分必要な材料を集めましたので役立ててください!
それではいきましょう!
タッチレス水栓は本当にお得か!?
タッチレス水栓は節水効果とお湯を使う量を減らせることから省エネ効果があり、国でもCO2削減の観点から力を入れています。
いつもどおりかかるお金に対して、節約効果で元が取れるのかを検証していきたいと思います。
今回はLIXILの水栓金具を勝手に3種類にピックアップさせてもらいました。
ハンズフリー水栓、タッチレス水栓、センサー無し水栓の3つで比較をしていきたいと思います。
●ハンズフリー水栓
水栓上部のセンサーに加え、吐水口下にもセンサーがあり、使うタイミングにピンポイントで水を出し止めできる。今出回っている自動水栓の中で最も高性能なタイプです。
LIXIL | キッチンパーツ | 水栓金具
●タッチレス水栓
操作レバーに触れず、上部のセンサーで水の出し止めを操作することができる水栓金具。
自動水栓の中でもオーソドックスなタイプ。
各メーカーで出ているのはこのタイプが多く、選択肢は多いです。
LIXIL | 水栓金具 | ナビッシュ
●センサー無し水栓
センサーがなくレバー操作により水の出し止めをする一般的な水栓金具。
アナログのため出し止めの精度は安定している。
また、センサーが無い分価格が安価なことが多い。
LIXIL | 水栓金具 | オールインワン浄水栓
タッチレス水栓の節約効果
4.5リットル/分の水量で同じ量の食器を毎日洗った場合の1年間の光熱費になります。
参考までにセンサー無し水栓で1日16分ほど食器洗いにかけた計算です。
タッチレス、ハンズフリーと無駄な利用がなくなるので利用時間が短くなります。
結果は以下の表のようになりました。
カタログデータ上だとセンサー無しと比べ、タッチレスで1,710円、ハンズフリーで3,729円お得になるというシミュレーションになりました。
年間の光熱費 | 水道代 (使用量) | 都市ガス代 (使用量) | 電気代 | 光熱費合計金額 センサー無標準の 場合の差額 |
ハンズフリー水栓 | 5,979円 (22,560L) | 11,038円 (65.7㎥) | 作動時7円 待機時188円 | 17,212円 (-3,279円) |
タッチレス水栓 | 6,493円 (24,500L) | 12,096円 (72.0㎥) | 作動時4円 待機時188円 | 18,781円 (ー1,710円)※ |
センサー無し水栓 | 7,118円 (26,860L) | 13,373円 (79.6㎥) | ー | 20,491円 (±0) |
タッチレス水栓の水量やガスの使用量は複数のカタログデータから比較できるように個人的に計算したものです。
この節水効果ですが、水栓金具自体に大きな違いはありません。
同じ時間水を流せば、同じ金額がかかる計算になります。
光熱費が安くなるのはセンサーによって無駄に水・お湯を流す時間が少なくからです。
気になる点としてはハンズフリーはかざして洗い物が終われば、その瞬間に水が止まります。
※でも今回のタッチレスは上部に手をかざさないと止められないので、センサー無しとの違いはレバーに触れるか触れないかだけなんです。センサー無しとタッチレス水栓にここまでの差がでにくいように思います。
節約の観点から考えると、ハンズフリー水栓を採用いただくのが一番いいです。
タッチレス水栓は節約よりも汚れにくさ衛生的という目的にはあっているかと思います。
タッチレス水栓・センサー無し水栓はあまり変わらないので節約目的ならハンズフリー水栓!
性能のいいハンズフリー水栓で元をとれるか?
そもそもですが、断熱や暖房と違い水栓ごとの大きな節水能力は変わりません。
そのため使い方次第、使う量次第で差がかなり差がでます。
今回はシミュレーションの結果を使って計算しますが自動水栓は元を取るとことは難しいです。1つの指標として捉えてください。
借入の場合は条件がもう少し難しくなります。
ぜひコスト以外のメリットを目的に採用することをオススメします。
タッチレス水栓のオプション価格分の元を取るのは難しい。
タッチレス水栓のメリット
タッチレス水栓には3つのメリットがあります。
汚れにくい、掃除が楽。
泡や濡れている手でレバーをさわることが無いのでタッチレス水栓は汚れにくいです。
気にする方はしっかり手を拭いてから水を止めたり、汚さないように肘でなんとか水をだしたりすると思います。
そんな煩わしさがないため、無駄な水やお湯を使わないことに繋がるのかもしれませんね。
汚れにくいため、掃除も楽になっていきます。
レバーに触れないため汚れはほとんどシンクに流れていきます。
基本的にはホース引出し機能がヘッドが伸びますので掃除は楽です。
(ヘッド伸ばす時点で手が触れちゃうのですが・・・)
衛生的で感染症対策になる。
コロナが流行ってから手洗いの重要性が増してきました。
手洗いの際にレバーにふれることで、菌が繁殖する原因にもなります。
その点、タッチレス水栓はレバーに触れずに完結するため感染症対策に有効です。
キッチンはいろんな食べ物についた菌が繁殖する可能性もありますので、生活の中で接触の回数が減るのは安心に感じますね。
ご年配、子供も使いやすい。
かざすだけで水が使える、という点でどんな人でも利用しやすいメリットがあります。
通常だと奥側にレバーがついていることが多いので、小さい子供や力の入りにくいご年配の方は一般の方と比べると少し大変です。
タッチレスは力が必要なく、センサー部分までぎりぎり手が届けば水はカンタンにだすことができます。
お子様と一緒に並んで料理したい、2世帯で親と一緒に使う。そんな要望の場合にはメリットを強く感じるかもしれませんね。
タッチレス水栓のデメリット
センサーで操作するが故のデメリットが大きくわけて3つあります。
意図しないときに水が出てしまう。
いろんなケースがありますが、キッチン周りを掃除しているときやキッチンを挟んでもののやり取りをしているときなど、誤ってセンサーに触れてしまうことがあります。
一番まずいケースは、ペットに反応してしまうことです。
特にネコちゃんはキッチン上にもカンタンに登ってしまうと思うので注意です。
10分間吐水後に自動的に止るようですが、できれば避けたい・・・。
家事をしていて、意図しないときの吐水で周辺が水浸しになることもあるので、センサーにできるだけ早く慣れていきたいですね。
水量・水温設定を忘れる。
タッチレス水栓の水量・水温設定は一部の商品を除いて基本的にレバー操作によって変更できます。
出そうとしたときの水量・水温設定で水が出てくるため、不意打ちをくらうことがあります。
実体験でモデルハウスのキッチンをお客様にご案内していたときのことです。
手をかざすと自動で出てくる水栓になります!
へぇ~、出してみてもいいですか?
手袋はいていただいていると思うので私がかわりに・・・(手をかざす)
ブシャーッ!
すみません、大丈夫でしたか?汗
逆に大丈夫ですか?苦笑
ご案内してたお客様には身を呈してデメリットをお伝えすることができました、というお話です。汗
金具の調整などで水量の調整ができますので、こういった自体を防ぎたい場合は事前にちょうどいい水量に調整していただくといいと思います。
あと温度については上位グレードになると温度指定ができるセンサーもつくので、より使い勝手も良くなります。
採用したときはできるだけ早く使い方に慣れて、みなさんも気をつけてくださいね。
停電時はセンサーが使えない。
停電時に使えなくなるのはセンサーだけなので心配はいりません。
切り替えして手動にすることで水を出すことができます。
ただ、停電時はパニックになると思います。
すぐに水が使いたいときに切り替えの方法がわからないと、少し困りそうですね。
ベストは使い方を覚えておくことです。
あとは手動の切替場所にメモ書きをはって置くなどでしょうか?
インターネットでも出てくるので、切替ができることだけでも必ず覚えておいてくださいね。
節約できる水栓を見分ける方法
キッチンのカタログを見ていると、水栓金具ごとに「節湯A1」などのようなマークが記載しています。
これを見るとどれぐらいの性能を満たしているかがわかります。
このマークが節湯A1、節湯C1、節湯ABになっているものが節水できる性能を持っている可能性が高いです。
このマークがあると手元止水機構、少流量吐水機構、水優先吐水機構を有しているという証明になります。
●手元止水機構:レバーに触れず止水操作ができる。(タッチレス)
●少流量吐水機構:水圧を変えずに水の量を削減できる仕組み。
➡少ない水で十分な使い心地というのがわかりやすいかも。
●水優先吐水機構:お湯が混合する範囲がはっきりわかる。
➡レバー操作でクリック音がなるとお湯と混合になります。
詳しく知りたい方は日本バルブ工業会のHPをご覧になってみてください。
ただこれはあくまで基準を満たしているかどうかです。
比較がしにくいので、パッと見の判断に使ってみてくださいね。
タッチレス水栓のメーカー比較
今回のシミュレーションは私の方で噛み砕き、同じ条件にして比較することとします。
あくまで1つの参考程度にご覧いただければ嬉しいです。
各メーカーかなり使い勝手が違います。
数字だけでは比較できない点も多いので、必ず実物を確認してみてくださいね。
メーカー | 商品 | タッチレス 以外の特徴 | 価格 | 水道代 |
LIXIL | ハンズフリー水栓 エコセンサー付 (SFーNA491S) | 自動センサー エコセンサー ルミナスサイン | 136,000円 | 5,979円 (22,560L) |
TOTO | タッチレス水ほうき水栓LF(センサースイッチ) | エアインシャワー 水ほうき | 82,120円(※1) | 4,555円 (17,187L) |
Panasonic | スリンセンサー水栓 (JUG01FPSWTEA) | 節水モード (自動センサー) リズムシャワー | 130,790円 | 7,211円 (27,213L) 節水モード時 推定6,244円 |
LIXIL:ハンズフリー水栓エコセンサー付
LIXILで特徴のある機能はハンズフリー、ルミナスサイン、エコセンサーです。
●自動センサー
意外とありそうでない機能です。
Panasonicで節水モードで似たような勝手のものはありますが、他ではあまり見当たりません。
実際に利用するスペースは吐水口下で使うときにピンポイントに水を止めたり出したりできるのは節水にとても有効です。
●ルミナスサイン
従来のタッチレス水栓の場合、出てくる水の温度がわからないデメリットがありましたが、ルミナスサインという光の色で温度を確認できる機能があることで不意打ちを防ぐことができます。
●エコセンサー
最も注目したい機能がエコセンサーです。
タッチレスでお湯と水を使い分けることができます。
レバーに触れずに温度が変えられるのはとっても魅力的です。
触れずに済ませるという点で使い慣れればストレスフリーに近い使い方ができるのではないでしょうか?
TOTO:タッチレス水ほうき水栓LF
TOTOはなんといっても節水能力と特徴のある水栓の形です。
好きな人は迷わず選ぶ人もいます。
●エアインシャワー
メーカー比較でも最も節水効果が高くでていたのはこの特徴の効果です。
水の一粒一粒に空気を含ませることで、少ない水でしっかり洗えるようになっています。
今回紹介した水栓金具だけではなく、あらゆる水回りに採用されています。
柔らかい使い心地をぜひショールームで体験してみることをオススメします。
ザ・クラッソ|キッチン(台所) – TOTOのシステムキッチン
●水ほうき水栓
ほうきのように広がるような形で水がでるので広い範囲に水を当てることができます。
斜め上に立ち上がる形状のため、大きな鍋や食器を洗いやすいのがメリットです。
水ほうき水栓丨TOTO
Panasonic:スリンセンサー水栓
Panasonicの形の特徴はレバーではなく、ボタン操作になっているという点です。
Panasonicらしいですね。
機能の点でも特徴があります。
●節水モード
このモードにすることで、手元のセンサーを使うことができるようになります。
食器や手を水栓下にもっていくだけで水が出し止めできるので使い勝手もよくなり、さらに節水が期待できます。
●リズムシャワー
流れる量を細かく変えて、使う水の量を最大10%抑えることができます。
先ほどの自動センサーと同様で節水モードのときに使えるようになります。
状況に応じて使い分けられるといいですね。
水栓金具その他の選択肢
TOTO:フットスイッチユニット
名前の通り足で水の出し止めを操作できるようになる装置です。料理で手が空いてない状態で素早く操作することが可能です。使い慣れると家事のスピードが上がりそうですね。
気になる方はHPをご覧になってみてください。
フットスイッチユニット | キッチン用水栓金具 | TOTO
サイエンス:ミラブルキッチン
タッチレス水栓ではありませんが、節水につながる可能性があるのがミラブルキッチンです。
お風呂のシャワーヘッドで一躍有名になったミラブルのキッチン水栓が2020年から発売になりました。
ウルトラファインバブルという目に見えないぐらい小さい泡(約0.1μm)を含ませた水をだすことができるのがミラブルキッチンです。
このウルトラファインバブルによるメリット3つをご案内しておきます。
●汚れを落としやすい。
ただ汚れを落とすだけのCMが周囲では話題になってました・・・私はCGかと思ってました。笑
ウルトラファインバブルが汚れを剥がし、油分に吸着するため食器や食材を洗いが楽になります。
食器洗いが楽になるため水道代と洗剤の節約につながる可能性が高いです。
●水道代が節約しやすい。
TOTOのエアインシャワーと原理や仕組みは違うと思いますが、空気を含んでいるという点で同様に節水による節約が期待できます。
比較対象は明確ではありませんが、ミスト水流で約60%、ストレート水流で約25%の節水が見込めるそうです。
ただし、水を含む分、水圧を弱く感じるというデメリットもあります。
水圧は本管次第ではありますが、交換当初は物足りなく感じるようですので、注意が必要です。
●お肌・食材にも良い影響が。
ミラブルキッチン使用後の肌水分量が平均5%アップし、お米は水道水よりも各評価がよくなっているそう。
ちょっとメリット強すぎて売り込みくさくなるのでここまでにしておきます。笑
いろんなメリットがありますね。
気になる方はぜひ検討してみてください。
まとめ
- 光熱費節約を考えると機能が豊富なものを選ばないと効果が薄い可能性がある。
- タッチレス水栓のオプション金額の元を取るのは難しい。
- 使いなれるまではデメリットを目立って感じる可能性がある。
- キッチンに限らず節水効果が一番大きいのはTOTO。
- 水栓を足で操作する装置や、汚れを落としやすい水を出す水栓金具もある。
オプションなどでどうしても入れたいものが入れられない場合はその他の項目でコストダウンを図ってみてください。
わかる範囲のコストダウン方法を詰め込んだ記事がありますので、役立てていただけると嬉しいです。
ここまでご視聴いただきありがとうございました。
また次の記事もお家づくりにぜひ役立ててください。
それではまた!
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